研究概要 |
本研究は,日常生活場面での個人の健康関連行動や健康状態がストレス場面にどのような影響を及ぼすかについて明らかにすることを目的とした.本年度は,望ましい健康行動の基準の妥当性の検証するために,フィールド場面で日本版健康関連行動調査を実施した.更に,メンタルストレステストに対する心理生物学的ストレス反応性の予備調査を検証し,次年度以降の実験システムを構築した.その結果,以下のような知見を得ることができた。 1:望ましい健康行動の基準の妥当性の検証 大学生を対象者に集団法にて日本版健康関連行動調査,GHQ-28及びBDIを実施した. 健康行動,健康信念,健康知識及び健康のコントロール感を独立変数として,GHQ-28,BDIを従属変数として基準関連妥当性を検証した.うつ傾向や慢性ストレス状態の強い個人は,望ましくない健康行動をしており,健康信念や健康知識が低い傾向であった.一方,それらの傾向が低い個人は,望ましい健康行動を実施しており本調査用紙の妥当性を明確にできた. 2:メンタルストレステストに対する心理生物学的ストレス反応性の予備調査 大学生100名を対象にメンタルストレステストを実施し,その前後の唾液を採取しPNEI指標,DSSQ・III(主観的ストレス状態)及び心拍の変化を調べた.なお,同一の対象者にストレステストを負荷しない統制条件にて同様のプロトコールにて実験を行った.統制条件と比較して,実験条件のPNEI指標,気分及び心拍等が著明に上昇した.これらの結果から,スピーチ課題をメンタルストレステストとして採用し,実験モデルの妥当性を検証できた. 3:認知的混乱課題によるストレス反応の変化 2と同様の実験モデルにて,メンタルストレステストをスピーチ課題と認知的混乱課題(市販されているソフト)の二つを実施した.スピーチ課題に比べ認知的混乱課題のストレス反応は低かった.次年度以降にメンタルストレステストの種類を増やすことが検討課題である.
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