本研究の全体の目的は、小学校5年次と6年次の二時点で、同一対象者に対して質問紙調査を行うことで、(1)問題行動の発生、(2)継続、(3)集団化の要因およびそのメガニズムを明らかにすることにある。 この目的を達成するために、本年度は公立小学校を対象に第1回目の調査を実施した。具体的には、静岡市の公立小学校5校と埼玉県の公立小学校1校、計6校の協力を得ることができ、全体で計431名の小学校5年生から「問題行動の経験」、「学校生活への感情」、教師・親への意識」、「学級の荒れ」および「生徒指導」などに関するデータを収集した。本研究の全体的な目的である「問題行動の発生・継続・集団化の要因」に関しては、来年度の調査との比較検討を待たなければならないが、今年度の結果かち、以下のような結果を得た。 (1)問題生徒と一般生徒を比較した結果、問題行動をする生徒のほうが「教師との関係および両親との関係が悪い。 (2)困難学級と通常学級を比較した結果、困難学級のほうが有意に問題行動をする生徒の数が多く、中学校における調査で見られたような問題行動をしない生徒における違いは確認されなかった。 (3)(2)より同じ「荒れ」でも、小学校と中学校では異なるメカニズムが働いていることが確認された。 以上の結果をふまえ、来年度は縦断的にデータを比較することで、本研究全体の目的である「問題行動の発生・継続、および集団化」に関する要因を明らかにしていく。
|