本研究の目的は、小学校高学年に縦断的な調査を行うことによって、問題行動の発生・継続、および集団化の要因を特定することにあった。 2年間に渡る調査の概要と結果をまとめると以下のようになる。まず調査概要については、平成19年度に小学校5年生を対象に問題行動に関わる調査を行い、平成20年度に同一対象者(当時6年生)に同一調査を行い、問題行動の発生・継続、集団化の要因を探った。 その結果、小学校高学年における問題行動を引き起こす要因には男女差があること、具体的には、男子生徒の場合、学校へ適応状況が、そのまま学校における問題行動として表れるのに対し、女子生徒においては、家庭への適応状況が、学校における問題行動に影響していることが分かった。 このことは小学校高学年の問題行動については、その対象が男子であるか、女子であるかによって、注目すべき点や働きかける点が異なることを示しており、現場の実践に対しても重要な示唆をもつものと思われる。
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