研究概要 |
これまでに実施してきた縦断的調査のデータの一部解析をすすめ整理した。また, これまで縦断的調査に参加してきた対象者に対して, 口頭のインタビューのみならず, 過去の記憶, 日常生活, 趣味, 嗜好等に関する質問紙調査も項目を増やしながら実施した。これは, 報告される記憶内容に, 日常の経験がどう関連しているのかを探るためであった。まず今年度のデータを整理した結果について報告する。繰り返し報告することが後の報告につながっている可能性や語っているうちに報告内容が多少変わっていく様子が示唆された。ただし, どう変わっていくのか具体的な変化の方向性や個人差までは明らかではないため, 今後の課題として, 対象者への過去の記憶以外も問う質問紙調査により対応していきたいと考え, 対象者に対する質問紙調査の実施にも力を入れていくことにした。次に, 対象者にインタビューとは別に実施をすすめている, 過去の記憶, 日常生活, 趣味, 嗜好等に関する質問紙調査の中間報告を行う。過去の記憶に関する質問に対する応答内容はインタビュー時期ごとに変化していくが, これまでのインタビュー結果と同様に想起時期に大きな差はないことが推測される。趣味, 嗜好は幼少期には変化が大きいが年齢が高くなると大きな変化は少なくなる可能性も示唆されつつある。 生涯発達の視点から, また, 記憶に限定せず, さまざまな側面との関連性の中でどう自伝的記憶というのが形成され意味づけられていくのかを追究していくことが, 今後の課題であると考える。
|