研究課題
本研究は、聴覚音声系のコミュニケーションに特化した小型類人猿を対象に、聴覚的な知覚・認知特性をヒトとの比較を通じて明らかにすることを目的としている。テナガザル類を対象とした実験であるが、他の旧世界ザルの情報も不可欠なためニホンザルとキャンベルズモンキーという旧世界ザルにおいて、協和音不協和音に対する選好性を検討した。方法は、サルの体の場所を指標として、飼育室の左右のどちらかに定位すると刺激が提示される、聴覚的な強制選択選好法を用いて検討した。実験の結果旧世界ザルにおいては協和音に対する選好性は認められず、選好性はほぼ位置偏向となった。しかし、音源提示されると何らかの影響が行動に与えていることも同時に確認された。結果として、サルは自発的に協和音と不協和音刺激を区別していると考えられたが、その音源に対する選好性は特には認められなかった。現在論文を執筆中である。また、テナガザルの音声収集のための海外調査もおこない、近縁他種のサンプリングをおこなった。具体的にはアジルテナガザルの亜種である、スマトラ産の2亜種とマレー半島産の1亜種である。またシロテテナガザルという、アジルテナガザルにとって近縁な他種の音声刺激も収集できた。これを利用して実験することを計画している。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
PLoS One 4
ページ: e4768
American Journal of Primatology 70
ページ: 1055-1063
The orisings of language. (Masataka, N. ed.)
ページ: 59-73