研究概要 |
本年度は、定型発達成人を対象とした予備実験および被験者となる自閉症児の選定と個別プロフィールアセスメントを実施した。参加者および参加児は、定型発達成人10名と自閉症児10名であった。本人および保護者に研究の詳細を説明し、研究参加同意書にサインをしてもらった。自閉症児に対しては、認知、言語、社会性の全体像を多角的に把握するために、以下のような個別プロフィールのアセスメントを実施した。(1)知能検査(田中ビネー、WISC-III)、(2)発達検査(K式発達検査、デンバー発達検査)、(3)適応行動検査(ABS適応検査,バインランド適応行動検査)、(4)言語検査(ITPA)、(5)認知機能検査(K-ABC)、(6)社会性発達検査(S-M社会生活能力検査)、(7)自閉性障害検査(PEP-R,CARS)。定型発達成人を対象とした予備実験では、言語学習に関する課題を設定し、課題遂行中の脳機能をNIRSによって計測した。測定では,2あるいは3波長の近赤外レーザ光を用い,生体を透過してきた各近赤外光をフォトダイオードで検出し,それぞれの波長の透過光量から酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化を算出した。その結果、課題に集中して取り組んでいる状態、特に課題の正答率が高いときには前頭皮質において一定の活動パターンを見ることができた。今後は、上記で得られたデータに基づいて、個別プロフィールと脳機能の関係を分析していく必要がある。
|