研究概要 |
研究1では、定型発達成人10名および自閉症児10名を対象とし、言語学習に関する課題遂行中の脳機能をNIRSによって計測した。測定では, 2あるいは3波長の近赤外レーザ光を用い, 生体を透過してきた各近赤外光をフォトダイオードで検出し, それぞれの波長の透過光量から酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化を算出した。その結果、定型発達成人と自閉症児のどちらにおいても、課題に集中して取り組んでいる状態、特に課題の正答率が高いときには前頭皮質において一定の活動パターン(酸素化ヘモグロビンの増加)を見ることができた。 研究2では、定型発達成人5名および広汎性発達障害児5名に対してMRSを用い、課題(計算、書字、迷路)遂行中の脳機能を、自己モニタリング手続きを行う条件と行わない条件で比較した。その結果、自己モニタリング条件では、定型発達成人と広汎性発達障害児の両者において前頭連合野の特徴的な活動(酸素化ヘモグロビンの急激な変化の繰り返し)が測定された。自己記録行動が生起する度に脳活動が変化していると考えられた。また、そうした脳活動の特徴は広汎性発達障害児よりも定型発達成人において明確であった。その違いが生活年齢によるものかまたは障害特性によるものか今後検討すべきであろう。
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