本研究の目的は、日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れと指導を円滑に行い、さらに外国人児童生徒教育の質的、量的な拡充を図るための、学校・教員支援システムの開発を行うことである。本年度は、研究課題として「外国人児童生徒教育担当教員の指導力と力量形成過程モデルの解明」を設定し、その検討を行った。具体的には、外国人児童生徒教育担当教員が必要とする指導力の中身とその形成過程を明らかにするために、外国人児童生徒教育担当としての経験が豊富な教員(概ね担当3年以上)に対する聞き取り調査と、経験年数が多様な教員(担当1年目から10年以上)に対する質問紙調査を実施した。調査の結果、外国人児童生徒教育担当教具の指導力といった場合、その核となるものが何であるのか、また、指導力の要素が相互にどのような関係にあるのかについて、一定の知見を得ることができた。また、そうした指導力はいかにして形成されていくのかに関しても、指導力形成の過程がモデル化できることが明らかになった。外国人児童生徒教育担当教員の指導力の全体像を描くことができたことによって、教員個々人が自らの指導力の現状に照らして重点的に向上を目指すべき領域がどこであるのかを把握することができるようになる。また、外国人児童生徒教育担当となる教員に対して、計画的、効果的に研修機会を提供していく上での基礎的なデータも提供できる。実際に、このデータを踏まえて教員研修会を実施して検証したが、本研究の成果が有効であることが確認された。
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