中国における六・三・三制の導入過程については、研究代表者によるこれまでの研究により解明がかなり進んでいる。本研究では、その六・三・三制が1920年代に中国各省でどのように採用され、実施に移されていったのかを明らかにすることが目的である。今年度は、そのための資料を入手し、別府大学アーカイブズセンター内にあるマイクロリーダーを使いながら、印刷する作業に時間を費やした。成果は、以下の通りである。 (1)いくつかの省で刊行されていた教育関係の雑誌を入手することができた。甘粛教育公報(1923年7月〜1935年6月)、広東教育公報(1921年10月〜1928年8月)、河北教育公報(1928年1月〜1948年8月)、湖北教育公報(1913年6月〜1933年6月)、山西教育公報(1924年7月〜1936年12月)の5点である。すべてマイクロフィルムである。月刊あるいは隔週刊など、刊行形態は省ごとで異なる。また、連続して保存されている場合もあれば、途中で欠けている場合もある。研究を進めるにあたり、貴重な資料を数多く入手できた。 (2)入手後、当初予測していた以上に膨大な量であることが判明した。そのため、今年度中にすべてを印刷することはできなかった。しかし、半分以上を印刷することはできた。 今後、印刷の作業をする者を増員することにより、今年度以上のスピードで印刷を進めていくと同時に、冊子としてまとめ、さらに目録にして作成する。その後、すべてに目を通し、本研究の目的である採用と実施に関する内容を抽出し、整理していく。最終的には、調査結果を所属する学会あるいは研究会で報告する予定である。
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