平成19年度は(1)日本における学校教育費配分の実態解明、(2)イギリス・スウェーデンにおける学校教育費配分調整の実態解明と制度特徴の分析を目的とし研究を行った。(1)については、総務相および全国学校事務職員研究会に対し情報提供依頼を行い、国内全市町村の平成18年度における市町村教育費と学校教育費のデータ収集を行うとともに、北九州市、京都市、福岡県春日市、芦屋町等におけるインタビュー調査を行った。これにより、国内の学校教育費配分が市町村毎にまったく異なる配分方式を採用していること、これまで政令市では標準運営費にもとづく学校教育費算定により比較的安定し透朋化された教育財政配分が行われていたが、近年の財政削減方式のもとで不透明性、不安定性を高めていること、これにより学校教育費の財源不足を引き起こしていることなどの諸課題があきらかとなった。また学校に比較的多額の予算配分を行っている春日市における小中学校インタビューを通じて、たとえ学校に予算が配当されても予算配分に関する自由裁量度が少ない場合には、学校運営に関する効率性や効果の向上はひきおこしにくい実態をあきらかにした。 (2)については2007年9月のイギリス調査と、スウェーデンに関する盗料収集を行った。イギリスでは2006年4月より学校特定交付金という中央集権的な教育財政制度を導入しているが、その算定公式制定に際しては地方自治体や学校関係者によるワーキンググループが大きな役割を果たしている実態、予算配分の透明性と学校の予算配分に関する裁量が大きいことで学校運営の効率や教育活動の効果の上昇にがみられることを明らかにした。スウェーデンについては、学校に対する予算権限委譲の進展した背景についての文献収集と分析を行った。これらの成果を学会報告として公表した。
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