本研究では、遊びの場面を分析し、小学校教育との連続性を検討し、保育実践における保育者の判断のあり方(実践の根拠)を検討し、援助の構造化を図ることを目的としている。本年度は、「1. 遊び場面における保育者の援助に関するデータの収集・整理」と、「2. 遊び場面における保育者の援助のあり方・課題に関する調査」を行った。1. については、平成19年度に収集した、幼児の遊び場面の映像データをさらに追加し、小学校教科内容との比較分析を行った。保育者に焦点を当て、保育者の援助に関して、データを収集し、映像分析を行った。結果、主体的に遊ぶ中で幼児は、小学校教科内容の広い範囲について学んでいることが明らかになった。2. については、保育者対象の質問紙調査、ヒアリング調査を行った。保育者が何を援助の根拠としているかを明らかにするために、質問紙調査を行った。絵本や歌の選択の判断根拠、生活発表会と日常保育の関係や、生活発表会での演題の選択基準等を質問した。その結果、保育者は、実践の援助にあたって、季節や子どもの発達、子どもの関心を、保育実践における援助の根拠としていることが明らかになった。漠然としたものを根拠としている傾向が伺えた。遊びの援助における専門性の確立の必要性が示唆された。保育実践において保育者がどのように判断を下しているのか、遊びの援助にあたり何に悩んでいるのかについて、ヒアリング調査を実施した。その結果、遊び場面において保育者が一番悩んでいる援助の内容は、人間関係に関するものであることが明らかになった。
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