研究概要 |
保幼小の連携の必要性と重要性が指摘され、園と小学校の相互訪問、教師間の交流などは進められているが、系統的なカリキュラムの検討や学びの連続性を図る試みは不十分である。本研究では1、遊びの場面を分析し、2、小学校教育との連続性を検討し、3、保育実践における保育者の判断のあり方(実践の根拠)を検討し、援助の構造化を図ることを目的としている。1、については協力園での園内研修を行い遊びの映像、写真、記録を元に保育者とともに学びの内容、援助の視点について検討した。遊びの姿についてドキュメンテーションを毎日作成している園や、保育要録を検討し、遊び場面の分析方法を検討した。結果、応答的に遊びをとらえ援助するだけではなく、保育者の知識や教育意図により、その意義付けがなされ、環境構成や問いの工夫がなされる必要が明らかになった。2,については平成20年度2学期に収集したM市のすべての保育所・幼稚園・小学校に依頼し通信を収集し、内容の比較検討を行った。結果、園・学外実習先、教育内容に重複部分が多いことが明らかになった。3、については、平成20年度の調査にさらにデータを追加し分析を行った。保育者の遊びの援助においてその判断の根拠となるものが、季節や年齢であり、子どもの現状や教育課題といったものを把握し、それと科学的根拠に基づいて実践の判断を行う必要性が明らかになった。以上の課題について、養成教育ではどのように取り扱っているか、東北、関東、中部、関西、四国、中国、九州より保育者養成と小学校教諭養成に関わっている研究者とともに専門家会議を開催し、シラバスの検討、内容分析、議論を行った。幼児教育内容に関わる授業を小学校免許の必修科目としているところや、実践の事前事後の交流研究会を、学年を超えて実施している事例や、記録等の工夫が明らかになった。
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