本研究の初年度(19年度)として、国内及び海外事例について訪問調査を中心に展開した。海外事例については、英国のRCC(Rural Commullity Council)について取り上げた。州単位にあるRCCは、特に農村コミュニティを支援対象とし、就労、教育、福祉等、住民生活にかかわる広範な課題について、多様なセクター、機関等とのパートナーシップを形成しながら支援事業を展開する中間支援組織である。RCCは、日本国内における生活支援・就労支援型中間支援組織を検討する上での仮説的位置づけとして、平成19年度の調査としてそのマネジメント、事業内容、パートナーシップ形成等について整理し、研究成果(学会発表及び学会投稿論文)として取り上げている。RCCの事業についてはまた、近年の中心的課題である英国のパリッシュにおける計画=Parish Planの策定支援について着目した。そのプロセスは単なる地域計画づくりに止まるのではなく、地域民主主義の再構築を含んだ住民自治への学習プロセスと捉えることができる。この点については、20年度の追調査を経て研究成果にまとめる予定である。こうしたRCCの調査を踏まえ、国内調査ではNPO等の民間によるコミュニティ支援や住民自治の促進と同時に、行政による支援事業についても調査を進め研究成果(出版図書)にまとめている。市町村合併後の自治と協働を推進する目的から、人材育成事業や地域担当職員制度などを展開する自治体を取り上げている。こうした支援機能の民間による展開や、従来の社会教育行政、施設との機能の重なりなど引き続き検討を進める予定である。
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