研究概要 |
本調査研究の目的は,1920年から1930年代前半を中心とした,沖縄の小学校における郷土教育の思想と実践について実証的に解明することである。そのために具体的に解明すべき課題として以下の三点を設定した。 (1)沖縄での郷土教育にかかわる各学校での実践の内容や組織について,教材に着目しつつ個別的に解明する。各地域・学校において郷土教育実践がきわめて多様に展開されていたことが推測できる。各学校作成の郷土教育の教材について,本研究ではその総目録を作成し,個別的な史料的検討を加えたうえで,解題を付す。 (2)沖縄県庁や沖縄教育会による郷土教育あるいは郷土研究への関与について,教育会誌『沖縄教育』を中心的な素材としてあきらかにする。 (3)沖縄における郷土教育実践の基盤とされた,郷土研究や郷土誌の刊行に関して,その体系的な目録化を実施する。対象時期における郷土研究および郷土誌の刊行状況に関する史料を収載した目録についての調査にとくに意を注ぐ。 調査研究の第一年度に相当する本年度は,以上のうち(2)に該当する課題の解明,すなわち教育会誌『沖縄教育』および調査対象時期に刊行された沖縄各地域の新聞史料の収集整理に充当した。具体的な手順は以下のとおりであった。 那覇調査(7月13日〜16日)『沖縄教育』記事抽出作業,東京調査(9月18日〜21日)『沖縄教育』記事抽出作業 那覇調査(10月19日〜21日)『琉球新報』新聞史料調査,東京調査(10月26日〜28日)『沖縄教育』記事抽出作業 石垣調査(11月30日〜12月2日)地域新聞史料調査,宮古・石垣・那覇調査(12月21日〜12月27日)地域新聞史料調査。 以上の基礎的調査により,研究第一年度に予定していた,基礎史料の体系的な整備という課題をおおむね達成することができた。次年度は,ひきつづき前記(2)とともに,(1)および(3)の課題の解明に取り組む予定である。
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