・授業の構造をとらえ、教師が協働的な学習環境を構成するための要件を明らかにするためのデータ収集として、首都圏の中学1、2年生各2学級における理科の授業観察を行った。授業は、上皿天秤やガスバーナーなど器具の取り扱い、気体や物質の性質(1年生)、化学変化、天気(2年生)などであった。授業はビデオカメラで映像記録を採取した。授業後には授業者にフィードバックを行うとともに聞き取りを行った。教師が子どもの学習や自身の指導について課題と感じていることがらについては、その場で意見を述べ、協議を行った。協働的な学習環境の要件として、教師の教材研究や生徒の理解度の把握といった学習指導的な側面と生徒間の人間関係や発達的特徴の把握といった生徒指導的な側面とが示唆された。 ・学校を基盤とした授業コンサルテーションの要件を検討するための取り組みを行った。近畿圏のA中学校、東海圏のB中学校において、校内研究体制の整備を担当教諭と協働して行った。2年目となるA中学校では、生徒の学習にあらためて着目し学習プロセスにおける教師の教授行動の意味について検討した。1年目となるB中学校では、既定の校内研究会に参加し、校内研究の特徴や課題を明らかにするとともに、一参加者として授業に対するコメントを述べた。いずれも、教師の教材研究を生徒の理解という観点からとらえなおすこと、教師の教授行動を生徒の学習との関係でとらえなおすこと、校内研究担当教諭のサポート体制を学校外のリソースの整備も含めて再検討する必要があることなどが明らかとなった。授業改善から教師の学習に向けたシステムの構築の必要性が示された。 ・その他、日本教育心理学会、日本発達心理学会を中心として、授業コンサルテーションや授業研究、教師の学習に関連するシンポジウムに登壇者として参加するとともに情報交換を行った。
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