本研究は、大卒無業者(就職も進学もせずに大学を卒業する学生)の発生メカニズムについて、2009年3月卒業予定の学生を調査対象にし、同一人を追跡するパネル調査という手法による3回のアンケート調査と、それと平行して実施したインタビュー調査により明らかにするものである。同時に、教職員等にも聞き取りを行い就職指導の状況について調査した。主な知見としては、就職活動開始前の意識や自分の能力に対する自信の持ち方と最終進路との関係を見た場合、進路が決定しなかった人は決定した人と比べると活動前から自信をあまり持っていなかったという点を指摘できる。さらに、進路未決定者は就職活動量も少ないという点にも注目する必要がある。無業者対策へのインプリケーションとしては、就職活動開始までの時期の指導のみならず、活動開始後の就職活動量を増やすような働きかけも重要ではないかと考えられる。
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