本研究は、オーストラリアにおける全国学力調査を、我が国の状況との比較の視点を有しながら、分析している。全国的な学力調査の実施は、国家の教育基準を設定することを意味している。しかし、その統一性と同様に、地域の多様な教育状況への配慮も、学力調査には不可欠である。1990年代中頃から学力調査を実施しているオーストラリアは、全国共通の最低到達基準(ベンチマーク)を設定している。一方で、似通った成果を残した学校をデータベース化し、教育環境の多様性への対応も図っている。このように教育基準の統一化と多様性への配慮は、今後の我が国の学力調査の実施にも参考になるであろう。
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