本研究から、義務教育段階の就学援助、高校生・大学生を対象とする奨学金事業等を、全体として教育費支援事業として捉えていく必要があることが明らかになった。具体的には、国の奨学金制度の制度変更の過程を検証するとともに、質問紙調査を通じて地方自治体(市区町村)が大学生・高校生を対象に実施している奨学金事業の現状と課題を示した。義務教育段階を対象とする就学援助事業についても分析の対象に含めたことで、2005年に行われた同制度に対する国の国庫負担金制度の変更を背景に、3割の自治体が同制度の見直しを行っていることを示した。
|