本研究の目的は、子どもの犯罪被害や非行の発生機会を減少させるために、今日、地域住民がどのような抵抗性(犯意ある行為者の力を押し返す)、領域性(犯意ある行為者に「ここから先は入れない」と知らしめる)、監視性(侵入してきた犯意ある行為者の行動を把握できる)を示しているかを明らかにすることにある。世代を分析軸として得た主要な知見を述べれば、以下のようである。(1)子どもの抵抗性を喚起する必要性はどの世代でも感じているが、それを実行に移しているのは高年世代である。(2)高年世代ほど地域組織防犯活動の効果を認めており、参加意欲をもっており、現に参加している。(3)地域で不審人物を見かけたり、叫び声を聞いたり、夜間子どもが一人でいるのを見かけたり、子どもが喫煙しているのを見かけたりしたときにアクションを起こすのは高年世代である。(4)こうした高年世代の傾向は、その地域生活構造のあり方(地域の人々とのコミュニケーション頻度の高さ、地域愛着度の高さ)や公的機関に対する認識(活動に対する認識度・信頼度の高さ)を反映していると推測される。
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