法関連教育は、中央教育審議会答申にも「新しい教育課題」として取り上げられており、学習指導要領の改訂で導入され、その教材開発研究は社会的要請となっている。一方でこれまでの法関連教育教材研究は、アメリカ合衆国の教材を中心としたものであり、この教材を翻訳しそっくりそのままを日本に導入することはその制度・文化・社会の違いから難しいのが実情である。そこで本研究では諸外国の法関連教育教材を分析し、教材開発の参考にしつつ、日本の制度・文化・社会に対応し、学校教育の場で活用できる法関連教育教材を開発することを目的とする。本年度で継続研究2年目になる。 なお本年度は、主として中学校段階で用いることが可能な紛争解決学習の教材を開発した。そのために、以下を行った。 1. 米国の法関連教育における法学習の展開(ニューヨーク州、フロリダ州)について検討した。 2. 身近な地域社会の紛争(トラブル)を教材として取り上げて、その紛争を法的・合理的に解決する手段として「法的思考枠組み」を指定し、この「思考枠組み」に沿って、生徒たちが身近な紛争(トラブル)を解決する中で、紛争を解決するプロセスとともに「思考枠組み」を子どもたちに理解させる中学校用の授業を構成した。なお、この形式の授業は2通り開発し、1つは橋本が作成し、もう一つは、橋本の他、福井市森田中学校森川禎彦教諭や、金沢大学法務研究科野坂佳生教授、福井弁護士会井上毅、後藤正邦両弁護士等の協力を得て作成した。 以上のうち、2については第16回日本グローバル教育学会や第58回日本社会科教育学会全国大会においてその成果を報告した。
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