研究概要 |
本研究課題の目的は、算数作問の認知過程とその教育的効果を明らかにし、算数作問の教育実践に対して、教材の種類・配列順序・新しい教材の開発・指導方法などについて具体的な提案をすることであった。ただし、算数作問といっても算数1年から6年までにはさまざまなものがあり、本研究課題では算数1年の減法に焦点をあてて研究をおこなった。平成19年度は、下記4点の研究成果をあげることができた。 1.論文「算数作問により期待される教育的効果」(東洋大学文学部紀要)では、日本の6つの出版社の算数教科書の内容を分析し、算数作問の種類と掲載頻度を明らかにした。また、算数作問に関する従来の実証的研究をレビューし、これまでの研究で使用されてきた算数作問の特徴を明らかにした。さらに、算数作問により期待される教育的効果に関して考察した。 2.小学1年生を対象とした調査をおこない、減法の求残・求補・求差に関する算数作問の認知過程を明らかにした。その研究結果は、学会(日本教育心理学会)で発表し、学術雑誌に投稿した(審査中)。 3.上記の研究を発展させ、小学3,4,6年生を対象とした調査をおこなった。このデータ分析を進め、研究結果をまとめることが次年度の研究課題の1つである。 4.算数作問の教育実践に対して、算数作問の具体的な指導方法を提案することをねらいとして、大阪府の公立小学校と共同研究をおこなった。その成果は次年度に図書として出版される予定である。
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