本研究は、アメリカ教育学の近年の動向において散見される、悲劇や受苦から幸福を構想しようとする道徳教育について注目し、それらについての基礎的な理解を中心にして、幸福をテーマとする道徳教育論を再構成しようとするものであった。2007年度では、ケアという臨床的な対人関係のなかで、不幸としての受苦的な経験や悲劇を徹底して他者と共有することによって幸福をめざすという道徳教育の視点を再考することを主たる課題として研究を展開した。2008年度には、悲劇からの恢復を幸福として捉えるために、希望と道徳教育との関係を明らかにすることを主たる課題として研究を展開した。
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