本研究の目的は、幼児期における音楽表現および小学1年生の音楽授業の方法原理の違いと共通点を導き出すことにより、幼小の連続性を実現する音楽活動の授業モデルを開発することである。 2年目の本年度は、初年度の研究成果を踏まえ、主に実践に重点を置いて研究を進めてきた。幼稚園および小学校1年生それぞれを対象にして、同じ内容の実践を行い、音楽の認識がどう違うのか、比較研究をした。研究実践の内容は、サン・サーンス作曲《カンガルー〜動物の謝肉祭》を教材とし、「はねる音・のびる音」の対比を感じ取って身体表現をするというものである。 年長児の場合は、音楽を認識するための拠り所は身体活動となる。身体全体で音楽の変化をとらえ、それをつぶやきとして表出することで、他者との共有が可能になり、音楽の聴き方が変化する。一方小学1年生の場合は、音楽を聴くのみでもその変化を捉えることができたが、身体や視覚的手立てを用いることで、より構造的に楽曲をとらえることができ、イメージも詳細となった。
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