平成20年度は、1アメリカの社会科憲法学習の論理にもとづく"具体的な授業開発"及び、2低学年から憲法的な価値を教えるための"理論研究"に取り組んだ。 1の具体的な授業開発に関しては、アメリカの社会科憲法学習の多くが「個人の幸福追求(少数者の権利)」と「公共の福祉(多数決原理)」のジレンマを学習内容としていることを踏まえ、日本向けの教材開発に取り組んだ。その結果、日本国憲法において「個人の幸福追求」と「公共の福祉」の関係を規定する第13条(個人の尊重・幸福追求・公共の福祉)を頂点とする基本的人権学習の新しい授業論を構築し、成果の一部を共同で論文化した。 2の理論研究については、アメリカにおけるキャラクター・エデュケーションの一部に、憲法的な価値(例えば「公正」、「寛容」、「市民的資質」、「個人の尊重」といった価値概念)を低学年から教授しようとするプログラムが存在することを明らかにし、その内容編成の論理について口頭発表を行った。
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