平成21年度は、現代アメリカ社会科憲法学習の論理にもとづく社会科授業開発研究のまとめとして(1)研究成果の学校教育現場への還元及び(2)新たな研究視点の獲得をめざした。 (1) 研究成果の還元については、憲法学習の理論と実践の両面から研究成果の公開を行った。理論面については、日本公民教育学会が編纂した『公民教育事典』において「憲法教育」の項目を執筆し、本研究で明らかになった憲法学習の論理をコンパクトにまとめた。また実践面については、橋本康弘編『教室が白熱する"身近な問題の法学習"15選』において、憲法24条に関する授業プランを発表した。これらの成果発表は学校教育現場の先生にも入手しやすい一般的な著書であり、本研究の成果を日々の授業づくりに反映できる可能性が高く、意義深いと考えられる。 (2) 新たな研究視点の獲得に関しては、本研究の過程において、アメリカにおいて急速にキャラクターエデュケーションと呼ばれる公民教育と道徳教育を統合した教材の開発が進行中であることを掴んだ。そして、その一部を入手し憲法学習改革の視点から分析を進め「子どもの『公正概念』発達論にもとづく公民単元構成」というテーマで学会発表を行った。今後は、本研究を発展させて、キャラクターエデュケーションにおける公民と道徳の統合教育の論理を明らかにしていきたい。
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