本研究課題は小・中学校の学習障害児等の特別な教育的支援を必要とする児童生徒のための学習支援システムを検討するものである。平成19年度は、小学校1・2年生の算数の教科書分析を行うとともに、市販されている学習用ドリルの検討を行った。その結果、小学校1・2年生の学習支援には、学習内容の系統性を意識しつつ、学習上の困難をともなう子どもに対しては、前単元の内容に戻りながら学習できる支援を提供することが重要であることが明らかになった。その研究の知見を元にして、学習障害児等の特別な教育的支援を必要とする児童生徒のための学習支援ドリル(小学校1・2年生用・試作版)を作成し、CD-Rに集録した。また、学習障害児等の特別な教育支援を小・中学校で提供することができるための基礎的段階として、児童生徒の指導課題の析出方法をケース検討会から導き出す方法を研究した。その結果、学習上および行動上の困難を伴う子どもの学習支援課題を析出するには、学習面のみならず、情緒面、および環境面に着目することが重要であるということが明らかになった。この研究成果は、「特別支援教育・教育相談ケースファイル」として冊子にし、関係者に配布し、内容について意見を聴取した。2008年度にはこの研究成果を出版し、広く公表できるようにしたいと考えている。次年度は、19年度に実施することができなかった、通常の学級における特別な支援の方法を、学習障害児等の特別な研究支援を必要とする児童生徒の認知特性等から検討するとともに、授業中に多様な学習支援を提供するための方法論について研究開発したいと考える。
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