研究概要 |
本研究課題は小・中学校に在籍する学習障害児等の特別な教育的支援を必要とする児童生徒のための学習支援システムを検討するものである。平成20年度は, 平成19年度に挙げられた課題を受けて, 通常の学級における特別な支援の方法を, 学習障害児等の特別な教育的支援を必要とする児童生徒の認知特性等から検討するとともに, 授業中に多様な学習支援を提供するための方法論について研究開発した。具体的には, 発達障害児が通常の学校で示す困難を列挙した上で, その困難を障害特性と関連させて, 通常の学級を担当している教師が障害特性を意識して支援方法を考えることができるソフト(試案)を作成した。また, インクルーシブ教育を提唱し, 通常の学級に在籍する特別な教育的ニーズのある児童生徒に対する授業を10年以上展開してきた英国の授業展開の方法を調査・研究した。この研究の成果として, 通常の学級に在籍する特別な教育的ニーズのある児童生徒に対して, 「効果的学習(effective learning)」をどのように提供していくかについて論文としてまとめ, その研究成果の一部を日本教育方法学会編『教育方法37』に投稿し, 掲載された。本年度の研究をすすめる中で挙げられた課題としては, 英国の特別な教育的ニーズのある児童生徒への支援は, 単にわかりやすい授業を展開するための方法を研究することだけが重要なのではなく, 日木でいう「生徒指導」, 英国では「バストラル・ケア」の充実を図らなければならないということだった。こうした生徒指導やバストラル・ケアを組み合わせ, 特別な教育的ニーズのある児童生徒が安心して学習できるシステムを「学級経営」の側面から検討していくことが重要であると考えた。次年度はこの点を明らかにした上で, 研究成果を体系的にまとめたいと考える。
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