研究概要 |
本研究課題は小・中学校に在籍する学習障害児等の特別なを教育的支援を必要とする児童生徒のための学習支援システムを検討するものである。平成21年度は,平成19年度および平成20年度に進められた通常の学級における特別な支援の方法を体系的にまとめることを主たる目的とした。中でも,学習障害児等の特別な教育的支援を必要とする児童生徒の授業づくりの方法について研究を進めた。国内におけ実践研究では,通常の学級における学力向上の取り組みをふまえ,学習上の困難を伴う子どもに対する教科指導をどのように進めていくかについて,小学校低学年の算数を題材にして教材研究や指導方法の研究をすすめ,その成果の一部を書籍に発表した。また,インクルーシブ教育を提唱した英国の通常の学級に在籍する特別な教育的ニーズのある児童生徒に対する授業づくり方法を調査・研究した。この研究の成果として,英国では,通常の学級に在籍する特別な教育的ニーズのある児童生徒に対して用いられている「効果的学習(effective learning)」の中に障害特性に対する配慮や個に応じたカリキュラム編成を埋め込むようにして実践していることが明らかになった。また,生徒指導と教科指導を融合して,子どもの自己意識や自己肯定感,自己理解を促進し,社会的・情緒的発達の基盤を形成することが重要であることも明らかになった。研究最終年度である今年は,こうした英国の学習困難児に対する教育的アプローチの発展過程を研究成果報告書としてまとめ,冊子にして関係者に配布した。
|