知的障害養護学校の小集団指導において、児童生徒の主体的な活動参加を促すチームティーチングの在り方は重要な研究課題である。チームティーチングが効果的に機能するには、主指導者(MT)と補助指導者(ST)の役割分担の明確化が重要である。MTは授業を進行する役割、STが役割分担に基づく適切な支援を遂行することでチームティーチングは効果的に機能すると予測される。19年度では、年長幼児を対象に知的障害養護学校「朝の会」を想定した「始めの会」を設定し、チームティーチングによる小集団指導を実施した。対象児の課題遂行が確実に生起するにつれ、STの人数と定位置を変更し、STの支援行動を分析することで効果的なチームティーチングに関わる基礎的資料を得た。対象児は知的障害や自閉症を示す年長幼児4名であった。期間は19年5月〜20年2月であった。大学附属研究施設プレイルームで、週1回、計25セッションを実施した。課題内容は開始挨拶、スケジュール確認、出席・返事、日付・天気確認、手遊び歌、終了挨拶であった。セッション時間は約20分であった。STの役割は対象児への課題遂行の援助、離席など逸脱行動への対応であった。対象児の課題遂行レベルの安定に伴い、STの人数を4、2、1名の順で減らし、関連して、STの定位置を対象児の側、後方に変更した。分析では、指導場面のビデオ録画に基づき、STの支援行動について、支援対象と内容、時間を記録した。また、対象児の課題遂行をプロンプトレベルで評価した。その結果、STの支援行動の頻度は、ST2条件において、STの人数が4名から2名に減ることでST4条件よりも支援行動は増加すると推測されたが、両条件で同じレベルであった。また、ST2条件では前半のセッションでST4条件のレベルを維持し後半で下降傾向が認められた。STが対象児個別に支援を行うST4条件では、STの支援行動として、対象児の課題遂行に直接関係しない声かけや動作指示が多く含まれていた。ST2条件では、STが2名に減り、STの定位置が対象児の後方に離れたことで、そのような課題遂行に直接関係しない働きかけが減ったと考えられる。ST2の後半では、STの支援行動が下降したことから、セッションの進捗につれて対象児の課題遂行レベルが高まり、STの支援行動も減少したと考えられる。対象児2名では、ST1条件では支援行動の頻度が増加した。ST1条件で支援行動が高まる傾向が顕著であった。この2名は指導開始時より離席などの逸脱行動が頻繁であり、このような逸脱行動への対応によってSTの支援行動が増加したと考えられた。
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