本研究の目的は、(1)小学生の読解能力を測定するための検査の作成、(2)作成した読解能力検査を小学1年から6年を対象に実施し、その結果を分析し、小学生の読解力の現状及び特徴を明らかにする、(3)その結果に基づいて読解力を改善するためのプログラムを作成し、読解能力の低い学習障害児を対象とした形成実験を行い、そのプログラムの有効性を検証することである。 平成21年度は上記(3)の、読解力を改善するためのプログラムを作成し、読解能力の低い学習障害児を対象とした形成実験を行うことを目的とした。平成20年9月から12月にプログラムを作成し、12月と平成21年1月に実験前の検査を行った。実験は21年の1月~3月、3月の後半に実験後の検査を行った。 実験群は小学1年から5年の3名、対象群は1名である。実験前後の評価検査は、筆者が平成20年度に作成実施した読解能力テスト、乱文テスト、金子書房からだされている読書力テストを用いた。実験のプログラム内容は、個別に対話を通して読解をするのに必要な要素を考えさせるもので、20回ほど実施した。 結果は、対象群はほぼ前後の評価テストの成績には変化がなかったが、実験群では3名とも特に読解能力検査において2学年分程度成績が上昇し、著しい改善が認められた。
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