研究概要 |
有限群Gの一般バーンサイド環を実現させる部分群族の例はこれまでさほど多く見つかっていない。例えば一般に共通部分で閉じている族などの自明な例が知られている。しかし近年、山形大学の小田文仁氏によってp-centric部分群全体からなる族Cが一般バーンサイド環を実現させることが指摘された。これは共通部分で閉じていない非自明な例である。 この事実と部分群複体の観点から、次に興味が出てくる部分群族(あるいは複体)はp-根基部分群全体からなるR, あるいは先のCとRの共通部分で定義されるcRである。しかしRおよびcRは共に少なくとも一般バーンサイド環を実現させるためのある十分条件を満たさないことが分かっている。しかし今回の研究成果はRやcRその物ではなく、それらの正規化部分群の族を考えることによって、その十分条件が満たされ、即ちその一般バーンサイド環が定義出来るというものである。ここでは同時にこの環構造の考察も行った。またこの結果は、我々の研究対象である部分群複体を一般バーンサイド環の観点から考察できる可能性を示唆している。この研究成果は現在数学専門誌に投稿中である。
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