研究概要 |
本研究の目的は有限群Gの部分群族Cから得られる表現・幾何・ホモトピー不変量等に関する相互関係の解明である。ここではCから定義される「道代数」Q(C)を考える。即ちH,K ∈ Cに対してH≦Kなる包含関係が存在するとき矢印H→Kを定義することによりCをQuiverと見なす。さらに矢印のいくつかの連結を「道」とする。ただし自分自身への矢印も一つの道とする。このとき任意の体kに対して道全体をk-基底とするk-ベクトル空間は、道の連結を線形に拡張して定義される積と共にk-代数をなす。これをCのk-道代数といいQ(C)で表す。特にQ(C)の表現の圏は有限次元kQ(C)-加群の圏と圏同値であるなどよく研究されている対象である。 さてCを特にG-共役の作用で閉じている部分群族とする。この作用は自然にk-代数Q(C)上に拡張されG-軌道分解G=X1∪…∪Xmが得られる。さらに各G-軌道Xiに属する要素の総和を[Xi]で表す。このとき[Xi](i=1,…,m)をZ-基底とするようないわゆる「束のバーンサイド環」が実現されることが明らかになった。束のバーンサイド環は山口大学教授飯寄信保氏が定義した代数系である。その際にある「重み」という概念を考察する必要がある。この現象は部分群族から定義される部分群複体、束のバーンサイド環、あるいは山形大学准教授小田文仁との共同研究で得られている一般バーンサイド環の結果との間に強い関わり合いがあることを示唆している。そこで表現論や指標理論を用いたこれらの考察を現在継続中である。以上は上記の飯寄氏との共同研究である。
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