研究概要 |
岩堀ヘッケ代数のスペヒト加群の既約性を与える条件を一般線型量子群のDe-Visscher Donkinにより与えられた多項式表現の圏における傾斜加群が射影加群になる条件と直既約入射的加群から同じウェイトで添字付けらえる余標準加群への全射を与える条件から導き出されることを示した. ここで問題となっていた入射的加群の自己準同型環が自己入射的になることが、シューア関手で対応するヤング加群の自己準同型環に伝播することで、このプロセスがうまく機能している. 以上が本年得られた全ての結果ではないが、主要なものである. ここで、得られた結果は非常に基本的な問題[特殊化する前の既約加群の完全代表系を与えるものうち、特殊化後も既約になるための判定]を与えており、単体でも大変意義のあるものである. また、別の結果として有木進氏により組織されたWorkshop on Algebras in Lie Theory(玉原セミナーハウス9月7日-9月12日, 2008)において異なるe-ウエイトをもつ分解定数並びにq-分解定数の比較をホモロジー代数的に行った結果を発表した. 執筆活動であるが、昨年から継続のChuang氏との共同研究Runner Removal Morita Equivalencesが2008年に受理され、レフェリーの推薦によって飛田明彦氏との共同研究箇所が付属論文として加筆となり、受理された. また一般線型群のRouquierブロックの拡張としてE型有限簡約群に類似物が存在することを記した論文が、Advances in Mathematicsに受理された.
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