平成19年度の研究においては、(1)Nichols-Woronowicz代数を用いた余不変式代数のモデルやその拡張の構成、及び(2)Nichols-Woronowicz代数の表現に現える一般化された差分商作用素に関する研究を行った。 (1)Bazlovによる有限Coxeter群の余不変式代数のNichols-Worowiczモデルの拡張として、複素鏡映群に対する余不変式代数のNichols-Woronowiczモデルの研究を行った。これは、BazlovとBerensteinにより与えらえた有理Cherednik代数のbraided doubleを用いた構成とも関係している。また、Fomin-Kirillovの二次代数やNichols-Woronowicz代数の拡大を用いて同様のモデルを旗多様体の同変コホモロジー環に対して構成し、その応用として同変コホモロジー環に対するPieri型の公式を証明した。なお、このような構成は量子化されたバージョンにも適用可能である。(math. QA/0712.2580) (2)Nichols-Woronowicz代数はWeyl群の余不変式代数の上に差分商作用素たちとして作用する。我々の研究では、差分商作用素の代ゆりにより一般的な形を持っ作用素を考え、どのようなものが表現として許されるかを決定した。結果として、Bwchstaber-Felde-Veselovによる楕円Dunkl作用素の研究において現れた関数方程式の解が我々の場合にも現れた。彼らの解のWeyl群不変なもののクラスが頂度Nichols-Woronowicz代数の表現に相当する。A型の場合二次代数の適当な変形を考えることで、彼らの解の一般的なもののクラスが得られる。(ある種の楕円関数が現れる。)さらに、このような楕円Dunkl元たちがどのような関係式をみたしているかも決定することができた。
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