1.エンゲル・ルジャンドル変換はルジャンドル曲線とミンコフスキー空間内の光的曲線との双対性を記述する変換です。ルジャンドル曲線から導入される光的接線曲面は、波面となりルジャンドル特異点論を用いることにより、ジェネリックな特異点の分類が分かっていますので、もう一方の光的曲線から導入されるルジャンドル接線曲面のジェネリックな特異点の分類を位相同相に関して求めました。また、射影空間の接線曲面のジェネリックな特異点は射影双対に関して対称性があるのですが、エンゲル・ルジャンドル変換に関する接線曲面の特異点の対称性は破られていることが分かりました。 2.完全積分可能なimplicit常微分方程式に対する定性理論を研究しました。完全積分可能な条件を一般化し、一般的なパラメータ付きの解の存在条件を考察しました。特に、1階と2階のimplicit常微分方程式のタイプの分類に関して、タイプごとの幾何学的解や特異解の存在条件を調べましたが、その結果を用いることにより、1階の正則な常微分方程式に対して、2階の常微分方程式に拡張した場合の一般完全解が存在する必要十分条件を求めました。 3.ユークリッド空間内における一般次元の部分多様体に関する焦面とその管状近傍による超曲面に関する焦面が一致することが分かりました。これはラグランジュ特異点論とルジャンドル特異点論の関係、特に、ラグランジュはめ込みとグラフ型のルジャンドルはめ込みとの関係を用いることにより示しました。さらに、球面内の部分多様体、双曲空間内の部分多様体、ドシッター空間内の空間的部分多様体に対しても類似の結果が得られることが分かりました。
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