研究概要 |
1の分割の拡張問題とは, 与えられた位相空間の部分空間上の1の分割が全空間上の1の分割に拡張されるための様々な条件を調べる研究をいう, 本研究は, 歴史的には, 被覆次元とコホモロジカル次元を統一して議論するための道具を開発する位置づけにもある, 1の分割の拡張は, ある種のよい性質をもった連続関数族の拡張を議論するものであるために, Dugundliの拡張定理等にみられるような, 部分空間上の関数族から全空間上の関数族への拡張子の存在の研究が重要である. 1974年, HeathとLuzterは, 一般化された線形順序位相空間(以下、GO-空間と呼ぶ)の閉集合上の実数値連続有界関数族の全空間への凸線形拡張子の存在定理を与えた. 同時に, この結果が, 実数値だけではなくベクトル空間値の範疇で成立するかどうかということを問題として提出した. 19年度に特定のバナッハ空間にける否定的解決を報告していたが, 20年度も引き続き, この問題に取り組んだ. 特に, I.Banakh氏とT. Banakh氏との共同研究から, 上述のHeath-Lutzerの問題は, 反射的バナッハ空間の場合には肯定的に, 反射的でないノルム空間の閉凸線形拡張子の存在として特徴づけられることを示し, 上述の問題をノルム空間の場合には常に否定的であるという結果を得た.すなわち, ノルム空間の反射性が, GO-空間上の閉凸線形拡張子の存在として特徴づけられることを示し ; 上述の問題をノルム空間の範疇で完全に解決した.本研究結果は, 線形拡張子と一般の拡張子の関連を与える研究にも応用できる. 研究成果を数理解析研究所等の研究集会で講演し, 関連する研究者と議論を行った.
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