曲面を四元数的正則関数とみなす発想により、四次元ユークリッド空間内の曲面が四次元ユークリッド空間内の二つの曲面の商で書くことができることが分かる。ここで四次元ユークリッド空間は四元数全体と同一視されている。この発想に基づいて、ラグランジュ曲面をラグランジュ曲面の商で書いたときの分母にあらわれるラグランジュ曲面を分類した。さらに、分母、分子、商のいずれかがハミルトン的極小になる場合に、分母のラグランジュ曲面を決定した。これを用いて、ラグランジュ曲面またはハミルトン的極小ラグランジュ曲面を具体的に与えて、商をとることにより、あらたなラグランジュ曲面またはハミルトン的極小ラグランジュ曲面を得た。これによりラグランジュ角度を固定したとのラグランジュ曲面のなす四元数的ベクトル空間の、具体的な基底の候補となるラグランジュ曲面を構成する方法を得た。また、得られた曲面を三次元ユークリッド空間へ射影した曲面のコンピュータ・グラフィックスをかき、形状から研究の発想を得るための資料を提供した。 曲面の微分の商をとっても、曲面が得られる。このことを用いて、同様にラグランジュ曲面が得られる。本年度は準備として曲面とそのガウス写像との商をとることを用いて、四次元複素ユークリッド空間内の複素正則零曲線と四次元ユークリッド空間内の超形曲面の対応を得た。両者は互いに代数演算と微分演算により簡単な計算で得られる。また、これを用いて、超共形曲面からあらたな超共形曲面を構成する手順を得た。 上で用いた議論はラグランジュ曲面でも有効である。これについては現在進行中である。
|