研究概要 |
本年度は3次元球面のオープンブック分解の特別な例として、多項式写像f\bar{g}が定めるオープンブック分解と両立する接触構造についての研究を行った.3次元多様体のオープンブック分解と両立する接触構造という概念はW.P.ThurstonとH.Winkelnkemperにより導入され, Y. EliashbergやE. Girouxらの研究を経て,オープンブック分解の研究における一つの道具として定着した.3次元多様体の接触構造は大きくtightとovertwistedの2つに分けられる.複素特異点と接触構造の間には自然な関係があり,特に平面曲線特異点の場合には,それが構成する3次元球面内のオープンブック分解(ミルナー束)は3次元球面上のtightな接触構造と両立することが知られている.2変数の複素解析的写像fとgについて,実解析的写像f\bar{g}を考える.f\bar{g}が構成する実解析的特異点の研究はJ.SeadeやA-Pichonにより進められ,それが3次元球面内にオープンブック分解を定めるための必要十分条件などが知られている.本年度の研究では, f(x, y)=x^p+y^a, g(x, y)=x^r+y^sという特別な場合について,f\bar{g}が構成する3次元球面内のオープンブック分解がovertwistedな接触構造と両立することを証明した.
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