研究概要 |
3次元ホモロジー球面内のファイバー性をもつザイフェルトリンクについて、そのオープンブック分解から定まる接触構造を具体的に構成し、多くの場合について、その接触構造がtightであるかovertwistedであるかを決定した。接触構造がovertwistedであると、それは複素多様体の境界としては得られず、またモノドロミーのデーン捻り表示は必ず負のデーン捻りを含むことなど、様々な帰結が得られる。接触構造はザイフェルト多様体のファイバーと接触構造のReebベクトル場がほとんどの場所で平行になるように構成される。さらに、この結果を任意の3次元多様体内のファイバーリンクに沿ったケーブリング操作に応用することで、ケーブリングして得られたファイバーリンクの接触構造を具体的に構成し、さらにそれがtightになるかどうかをほとんどの場合について決定した。これはHeddenにより3次元球面内のファイバー結び目に沿ったケーブリングに関する結果の一般化になっている。 また、David Futer氏(テンプル大学)、蒲谷祐一氏(東工大)、下川航也氏(埼玉大)、Thomas Mattman氏(カリフォルニア州立大)とプレッツェル結び目のデーン手術についての共同研究を行い、(-2, 3, 7)および(-2, 3, 9)以外のプレッツェル結び目からは基本群が有限群となる3次元多様体は得られないことを示した。この結果はAgolとLackenbyの6-theoremを使って有限群が現れる可能性を絞り込み、最後はCuller-Shalen理論におけるideal pointの計算を具体的に行うことで証明される。
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