研究概要 |
前年度に続き、3次元ホモロジー球面内のファイバー性をもつザイフェルトリンクと両立する接触構造に関する研究を行った。両立する接触構造がtightであるかovertwistedであるかを決定することが前年度の研究目的であったが、今年度は3次元球面内のザイフェルトリンクについて、ファイバー性という条件を除き、tightという条件をstrongly quasipositiveという条件に書き直して考察を進め、strongly quasipositivityをもつための必要十分条件を求めた。他にも、3次元ホモロジー球面内のグラフリンクへの拡張などを試みた。 Sebastian Baader氏(チューリッヒ工科大学)との共同研究ではThurston-Bennequin polyhedronという概念を導入し、成分数2のリンクの最大Thurston-Bennequin不変量の挙動についての研究を行った。ここでThurston-Bennequin polyhedronとは、成分数2のリンクのルジャンドル表示の各成分のThurston-Bennequin不変量の対(a,b)を平面上にプロットし、それらの点の凸包をとることで定まる平面上のnon-compactなpolyhedronである。研究では、2橋結び目のpolyhedronの形を決定し、さらにpolyhedron内の格子点を実現するルジャンドル表示が必ず存在することを示した。
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