本年度の研究では、申請時の研究計画・方法に従い、双曲曲面に対する一般的基本多角形の存在定理に向けての証明を進めた。 七月には英国のウォーリック大学で催された研究集会に参加して当該分野に於ける最新の研究情報を仕入れたと共に、共同研究者のMadrid大学のRaquel Diazとも再会して本研究を進め、またそこで得られた成果をMinnesota大学のAlbert Mardenと共に議論した。その後、これらの研究成果をRaquel Diazとの共著論文"On the properness of some algebraic equations appearing in Fuchsian groups"に纏め、現在"Topology Proceedings"に投稿中である。 研究計画・方法で挙げた通り、上記の研究成果は本研究が取り扱っている問題を二次元化したものであるが、この結果を三次元化するのが今後の研究目標の一つとなる。また二次元版の問題の今後の展開としては、一般的双曲多角形の中心が無限遠に行った場合の対応物の存在証明がある。この結果に関してはこれまで知られている研究成果が無い事から、引き続き研究を進める意義があると言える。 上記に挙げたこれらの研究の方針を確認する目的もあり、本年度末には研究計画・方法での予定通りMinnesota大学にAlbert Mardenを訪ねる事とした。そこでは当該研究に関する有益な議論をする事が出来た。また本年度にはその他、国内の複数の研究集会にも参加して有益な議論が出来た。
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