研究概要 |
近似数値軌道に付随する変分方程式に関する解析をもとに,メルニコラ関数を構成する際に必要となる無限次元作用素の導出とその不動点を求める為の精度保証法の開発に着手した.特に本年度は近似数値解の精度とホモ/ヘテロクリニック軌道に対する分岐方程式の関係について,解析的および数値実験的研究を遂行した.その結果近似解の導出にはshooting法が最適である事がわかり,十分精度の良いメルニコフ積分の値を計算する為にはさらに多倍長数値計算をする必要があることが明らかになった.また近似ホモ/ヘテロクリニック軌道に関する変分方程式に対してExponentia ldichotomy性を有する基本解行列を構成する必要があるが,その精度保証付き数値計算を用いた包み込みにおいてLokmeエ法と古典的な逐次近似法を融合した方法がもっとも効率的であることがわかった. これらの考察のもと,化学反応モデルの一つであるグレイスコットモデルに対して本提案手法を適用しその有用性を確認した.具体的にはグレイスコットモデルに現れるいくつかの重要な定常パルス解に対して本手法を用いてその数学的存在証明を与える事に成功した.これらの結果は学術誌に投稿し高い評価を得ている.
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