研究概要 |
研究期間の前半までに定式化が終わったリバーシブル系についての解析を一般の力学系へ拡張する試みを行ったが,幾つかの非常に単純なモデルでの成功例を得られる反面,一般化への困難な課題も浮き彫りとなった.この困難性はやはり対称性がなくなることに起因するホモクリニック/ヘテロクリニック軌道の構造不安定化である. Linの方法,SandstedteによるFredholm作用素をいた方法などのホモクリニック/ヘテロクリニック軌道の解析手法として知られている全ての方法について数値検証化を検討したが,精度と計算量を両方満足するアルゴリズムを得られることは現時点ではまだ出来なかった.しかしこの点の本質的な解決は計算機援用による今後の非線形解析手法として非常に重要になってくることから,今後も引き続き考察をしていきたい. 一方,解析的手法のみにこだわらず位相的方法を導入する試みもおこなった.具体的には,Homology群によるノイズ効果の取りいについてPersistent Homologyを用いるCarlsson (Stanford大)の議論を精度保証付さ数値計算法に応用することを考えた. アイディアはメッシュサイズによって生じる誤差をトボロジカルなノイズととして考えそのメッシュサイズ差が引き起こすpersistent homologyデータから数値誤差に対する何らかの定量的な量を取り出すものである.現時点ではまだ具体的な結果として得られているものはないが,解析的数値検証法と融合する可能性をもつ新たなアイディアであることが確かめられ,今後検討を続けていく.
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