研究概要 |
本研究課題における一つの目標は, 非凸領域において, 流体の運動を記述したNavier-Stokes方程式に対する精度保証を効率的に実現することです. そのためにはまず, 重調和方程式の有限要素解に対する誤差評価が必要になります. 最終的には, 非凸な角で細かくメッシュを切るようなメッシュリファインメントを反映した誤差評価を構築することが目的です.この目的については厳密な誤差評価はまだ得られていませんが, いくつか数値計算を行って, 誤差のオーダー等を計算し, 平行して理論的な考察を進めました. Navier-Stokes方程式に対する精度保証を行うには, 重調和方程式の有限要素解の誤差評価の他にも4階微分に関するあるノルム不等式を証明することが必要です.具体的には, H^4かつH^2_oに属する関数について, H^4セミノルムをダブルラプラシアンのL^2ノルムで押さえることができるのですが, この不等式に現れる定数を厳密に評価することが必要となります.この問題についても研究を行い, まずは領域が長方形の場合にこのノルム不等式を証明することができました. また, 三角形要素上の補間誤差定数の評価についても研究を行いました.非凸領域において2次の楕円型方程式の有限要素解の誤差評価を効率的に行うためには, この定数を精度良く求めることが非常に重要となります. この問題については, この定数を求めることのできる方法を開発することができました. ただし, 実際にこの方法を用いて定数を計算しようとすると, 今のままでは莫大な計算時間が必要になり, 現実的ではありません.まだアルゴリズムの改善が必要な段階です. 平成20年度においては, 国際研究集会での発表を二度行いました.
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