研究概要 |
例えば0度における水と氷といったような相転移が起きている状況で現れる異なる二相を分離する境界面の確率モデルとして▽φ界面モデルを取り上げ,特に界面と壁との相互作用に関するエントロピー的反発の問題に関連して界面の上下に壁を置いたもとでの場の性質についての研究を行った. これまでに行った研究で系がGauss的で高次元(3次元以上)の場合には,界面の上下に制限を加えた場合は場の相関関数が指数的に減衰することを証明し,更に壁の高さを無限大とする極限を取った場合について場の相関長(correlation length)および分散の正確な漸近挙動を得ていたが,これらの結果を2次元の場合でも証明することが出来た.d次元の▽φ界面モデルはd+1次元空間における相分離界面を表すので2次元の場合が最も物理的に興味があるものであり,また高次元の場合と比べ2次元では場の揺動が大きくなるという特徴があり各種の量の漸近挙動が大きく変わるため,高次元の場合に比べより精密な議論が必要となる.得られた結果は以前にBricmontらによって示されていた発見的な議論による荒い評価の数学的に厳密な証明かつその精密化になっている.
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