研究概要 |
本研究における主目的は、実効的界面モデルと呼ばれる確率モデルについて、その長時間・大規模漸近挙動についての解析を通じて考察を加えることである。特に、▽φ界面モデルと呼ばれるモデルや関連するモデルについて、その大規模・長時間漸近挙動を考察の対象とする。 最終的には、自然な形での境界条件・反射壁といった局所的な自己ポテンシャルまで考慮して、その挙動の解析を目指しているが、本年度はその前段階として総和を保存則として持ち、他は考慮しない場合について解析を試みることとした。もちろん前者とは密接な関係があるのは言うまでもなく、ここでの結果が今後の研究進展に大いに役立つと考えられる。 この場合、この保存則をもつ系を微視的界面の運動と見なしたとき、空間・時間に対するスケール変換を施し極限操作を行うことによって、巨視的な界面運動として決定論的時間発展が導びかれることが既に知られている(c.f.[Nishikawa,2002])。この結果は大数の法則と見なすことができ、本年度の研究では中心から外れた部分での確率の漸近挙動を記述する大偏差原理型定理について、多少条件に制限があるものの、一定の結果を得ることができた。ここで得られた研究成果については、九州大学で行われた国際研究集会において今年度内に口頭発表を行った。現在、学術雑誌における公表に向け、投稿のための準備を進めている状態である。
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