研究概要 |
複素力学系における等分布定理とそのエルゴード理論はBrolinによる1変数多項式の複素力学系のポテンシャル論の観点からの研究に端を発し,LyubichとFreire-Lopes-Maneによって独立に正規族の理論の観点から(1変数)有理関数へと一般化された。等分布定理の高次元化においてはポテンシャル論的方法の重要性がますます高まったが、Fornaess-Sibonyの初期の研究を経て、Russakovskii-Shiffmanは一般の有理写像列に対して、ネヴァンリンナ理論におけるValironの例外集合(の類似)を除いた初期値では収束のオーダーが指数関数的であること、またこの例外集合が多重極的、従って比較的小さいことを示していた。研究代表者らにより1次元複素力学系においてはvalironの例外集合が実は超吸引周期系全体という有限集合に一致することが明らかになったが、本年度は特に半双曲的集合での各初期値における等分布定理の誤差評価をより精密に研究した。また無理的中立周期系の研究への応用の観点から、理論の一般有理写像列や動標的の場合への一般化、高次元化について研究を行った。
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