研究課題
本課題の研究目的は、アペルの2変数超幾何関数および、その一般化であるロリチェラの多変数超幾何関数について、・ 局所的性質(微分差分方程式系)・ 計算機代数的手法を用いて、基本公式を導出することである。さらに先の目標は、より一般の超幾何関数の関数等式の導出である。特にこの手法がグラスマン多様体上の超幾何関数にも拡張できることが、我々の研究により明らかになってきた。それらを系統的に理解していくのも長期的な目標である。本年度はグラスマン多様体上の(3,6)型超幾何関数に対する関数等式を組織的に探索したが、新しい公式を発見することはできなかった。しかしながら、この公式を探索するために本研究で開発したソフトウェア・計算機利用技術の新しい応用が見出され、他分野への研究成果の波及があった。すなわち、行列で表される有限次元線形作用素のスペクトル分解を厳密に計算することである。スペクトル分解の積分表示は以前から知られていたが、実際に各スペクトル行列を求めるためには数値計算が必要であって、結果は精度の低い近似値しか得られていなかった。我々は行列の各成分が有理数で表現されるとき、解析的方法・代数的方法を併用して厳密にスペクトル分解を計算する方法を発見し、また、ソフトウェアとして実装した。
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Proceedings of the Joint Conference of ASCM 2009 and MACIS 2009, COE Lecture Note, Kyushu University 22
ページ: 137-140
http://air.s.kanazawa-u.ac.jp/~ohara/index-j.html