衝突銀河団での磁場構造の進化を調べるためにN体+電磁流体シミュレーションを行った。その結果、いくつかの特徴的な磁場構造が出現することを明らかにした。例えば、接触不連続面に沿った磁場構造、サブストラクチャー背後に現れる整った磁場構造、ケルヴィンーヘルムホルツ不安定性によって引き起こされる渦状の磁場構造などである。これらの構造は宇宙マイクロ波背景放射の偏光観測によって観測できる可能性があり、銀河団磁場のみならず、ガスの運動状態への新たなプローブになる可能性があることを指摘した。この結果はすでに論文としてまとめられ、Astrophysical Journalへ投稿中である。 連銀河団Abe11399およびAbe11401の連結領域を「すざく」衛星で観測し、銀河団中心からほぼヴィリアル半径ほど離れた外側の領域で重元素の存在を初めて明らかにした。この結果は、銀河から銀河間空間への重元素輸送がこれまでの標準的な理論予測よりも早い段階に大規模に起こっていることを強く示唆し、既存の銀河形成シナリオに対して疑問を投げかけることになった。この結果はFujita et.al.(2008)として、Publications of the Astronomical Society of Japan に発表された。 2007年10月24-26日に山形蔵王のたかみや瑠璃倶楽リゾートにて「研究会:マクロでミクロな銀河団」を行った。理論、観測の垣根を越えて40名以上の参加者が集まり、活発な議論が行われた
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