研究概要 |
銀河団衝突が質量評価に与える影響について、N体+流体シミュレーションのデータを用いて評価した。その結果、銀河の速度分散を用いる方法では観測方向による依存性が相対的に高くなること、特に衝突軸方向から観測すると、重力レンズとX線で大きな食い違いが予想されることを示した。この結果はTakizawa et al.(2010)としてPublications of Astronomical Society of Japan(PASJ)に発表された。 弱重力レンズサーベイで発見されたZwCl0823.2+0425銀河団周辺のダークハロー群について、すざく衛星を用いてX線フォローアップ観測をおこなった。各ハローに付随する高温ガスの物理状態を初めて詳細に明らかにし、弱重力レンズの解析結果と組み合わせることで質量-温度関係を得た。その結果、重力レンズで見つけられたサンプルとしては初めて質量-温度関係が自己相似モデルとあうことを示した。この結果はWatanabe, et al.(2011)としてPASJに掲載予定である。 代表的な重力レンズ銀河団Abell 1689の外縁部をすざく衛星を用いて観測し、ヴィリアル半径まで温度分布を得た。その結果、大規模構造フィラメントの方向でガス温度とエントロピーが有意に高くなっていることを発見した。この結果はKawaharada et al.(2010)としてThe Astrophysical Journalに発表された。
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